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和束町茶農家物語

京都府相楽郡和束町撰原(印の位置)

京都府相楽郡和束町は、「宇治茶の主産地」として煎茶生産の長い歴史があり、また近年は「茶源郷」として、京都府景観資産登録第一号にも認定された見事な茶園景観を有する町である。当町の煎茶生産量(荒茶)は、平成23年度では一番茶147,842㎏と、京都府下の煎茶生産量の3割強を占め(1)、そのほとんどは宇治茶として販売されている。宇治茶については、すでに製造技術から歴史・文化に至るまで非常に幅広く深い研究がなされているが、当町をはじめ生産現場の実態についての報告は決して多いとはいえない。(2)

本稿は、当町撰(えり)原(はら)地区在住で荒茶生産を行う中規模茶農家(3)であった藤井宗助さん(S2.10.23生・撰原)と妻の寿美栄さん(T15.7.26生・門前出身)からの聞き取りと、大福帳や支出帳、寿美栄さんの長年の日記といった藤井家の資料から、「茶園」と「ホイロ小屋・茶工場」という茶作りの場の風景を軸にして、和束町における戦前戦後の茶生産の現場の一端を見つめていく(一部他の話者の伝承を参照する)。

  1. 「平成23年度京都府茶業統計」京都府
  2. 和束町に係る民俗誌には、相楽郡連合校長会編集『私たちの相楽郡』(相楽郡誌刊行会・1959)や『山村のくらしⅡ』(南山城山村民俗文化財調査報告書・京都府立山城郷土資料館・1988)、『郷土調査』(西和束尋常高等小学校・1915)、『山城茶業史』(山城茶業組合・1984)などがある。
  3. 国土交通省による「各地域の特性把握」より。 http://www.mlit.go.jp/kokudokeikaku/iten/information/council/shuto-research/tochi_kentou/c_tochi24.html